固定回線の通信制限に関して

大手プロバイダーの通信回線であっても、プロバイダーによってまちまちなのだが、近頃はFLETS回線を用いたギガプランなどが提供されるようになり、旧来のMAX 100Mbps回線やMAX 200Mbos回線の品質の向上によって、プロバイダーが準備する通信帯域も日によっては、かなり混み合っており、ひどいところでは、3~5Mbpsしか帯域が出ないなどの現象が起っている。

この背景には、プロバイダーがしっかりしたフローコントロールを行っていないために、地域や場所、時間帯によっては、より通信環境の良いユーザーに専有され、充分な帯域が確保できないなどの現象が起こる。
条件がまちまちだというのは、劣悪なプロバイダーでは、バックボーンへの接続が、200Mbps共有線であったりすることもあるからで、これを単純に、200人で分け合えば、一人あたり、1Mbpsということになる。
これは、極端な例としても、1ユニットあたりの帯域が、ギガベースであることは、容易に予想できるので、このユ二ットに何人を繋げるかということになるのだが、光回線というのは、電柱のスプリッタでx8、その先の収容局でx4分岐されるから、トータルで最大32分岐されている。これを単純に1024Mbpsの32当分=32Mbpsと仮定すれば、プロバイダーが設計値として持つ収容数の限界値は、32契約となるが、契約数が200ならば、200/32=6.25ユニットを準備しなければならなくなる。この値が、先の、3~5Mbpsなで落ち込むことを仮定すると、32Mbps/5Mbps=6.4倍過剰に収容していることになり、32x6.4=204.8人という数値になる。これを、逆算して、204.8人 x 6.25ユニットとすれば、契約数は、1310.72人ということになり、現実的な数となるのでおそらく、1Gbps/ユニットあたり、200人の契約を見込んでいるという計算になる。

1Gbpsを200当分すると、5.12Mbpsなのだが、これは、フローコントロールをした場合の話であって、例えば誰かが、概ね100Mbps専有してしまうと、10人が利用すると帯域がパンクしてしまう。
まして、フル帯域に近い、70%の伝送速度の環境下で700Mbpsで通信している契約者一人いると、それで、ほぼその他の契約者は通信が出来なくなってしまう。

そんなことで、プロバイダーが、明記していなくても、帯域制限を行っていることは明白で、この帯域制御の手段によって、プロバイダーの品質が大きく変わることになる。

筆者が契約しているASAHI-NETでは、トラフィックが大きい接続が発生した場合、その上位から、ほぼ、8Mbpsに制限する仕組みになっている。これでやっと、200人が、8Mbpsを保証できる範囲に入るようだ。
どのような帯域制御をしているのはは不明だが、必ずしも200人が同時に通信することは無いので、8Mbpsを保証するような通信制御を行っていると考えて良いから、70%効率の8Mbpsの8Mbps/0.7≒11Mbpsを200人分用意すると、220Mbpsの余裕を作る必要があるから、最大帯域を1024Mbps – 220Mbps = 804Mbpsをボーダーラインとして設計すれば良いので、約80%の利用率で運用し、専有帯域が、80%を上回った時に8Mbpsへ制限すれば良いので、以下のような制御が考えられる。

バックボーン 平均トラフィック ユーザー占有率 転送速度
Mbps (%) (%) Mbos MB/s KB/s
1,024 80% 5% 40.96 5.12 5,243

バックボーン帯域の80%を全体域とし、その5%をユーザー占有率として、同時接続数を100/5=20人と仮定して、8Mbps~40.96Mbpsの範囲で通信させれば、20人の同時接続までであれば、一人あたり、40.96Mbpsが保証できる。ただ、上限帯域を40.96Mbpsとしてしまうと、800Mbpsまでは出なくなってしまうので、1Gbpsの契約としてはお粗末なものとなってしまうので、おおまかに、800Mbpsを上限に、40.96bps以上の帯域が長時間に及ぶ接続を監視して、一定の時間が経過したら、その接続を、8Mbpsに制限する。
このようにすれば、平均帯域を40.96Mbps周辺で制御でき、プロバイダー帯域に余裕がある時は、800Mbpsまで許容する。

実験的に、約、80Mbpsでの通信を継続的に行った時に約1時間で、8Mbpsに制限がかかったため、技術サポートへ電話して確認してみると、最小1時間、最大で2時間で帯域制限が解除されるということらしい。
また、予め、利用者が、帯域制限をして利用すれば、制限がかからないのかを確認したところ、制限はかからないと、いうことらしい。つまり、上記に計算のような制御をしているのだろう。
では、何処らへんまでの帯域なら、トラフィック制限の対象にならないのかを尋ねたところ、午後8時~9時台、11時台は制限がかかりやすいといった回答であった。次に、数GB程度を分割して通信すれば、制限対象にならないかと尋ねると、1回目と2回目の通信感覚を10~30分待って欲しいという回答なので、数GBの転送時間を、複数回実施した時の一定時間のトラフィックを監視していることになるので、やはり、検出サイクルは、1時間前後と見て良いことになる。

ただし、その時の混み具合によって変わってくるので、瞬間値であっても、80%を上回れば制限対象になるようだ。
実験的に、3MB/s=24Mbps周辺で、1時間以上負荷をかけてみたところ、この場合には、帯域制限の対象にならなかった。
以上のことから、参考値としては、先の表のような計算で問題無さそうなのだが、果たして、40.96Mbpsを継続的な負荷として通信すると、果たして制限が掛かるのかは、確かめてみないとなんとも言えないが、少なくとも、24Mbps~80Mbpsの間に制限値があるハズなので、あながち全くデタラメな数値でも無さそうである。

まあ、大きなファイルを一気に転送しようとする場合には、念のため、24Mbps以下に抑えるか、ファイル転送時間を、1時間以内に抑えるのが良いのだろう。
ということで、それぞれの帯域あたりの転送可能時間を制限がかからないで実施するための計算をしてみた。

Mbps 転送量(GB)/転送時間(分)
1 3 5 7 10 15 30
25 5.46 16.38 27.31 38.23 54.61 81.92 163.84
50 2.73 8.19 13.65 19.11 27.31 40.96 81.92
60 2.28 6.83 11.38 15.93 22.76 34.13 68.27
70 1.95 5.85 9.75 13.65 19.50 29.26 58.51
80 1.71 5.12 8.53 11.95 17.07 25.60 51.20
100 1.37 4.10 6.83 9.56 13.65 20.48 40.96

60分を超えるものは、赤く表現したが、上表より、ほぼ、10GBの転送なら、60分を超えることは無いから、平均帯域付近の50Mbpsが、27.31分なので、次の転送までの間隔を33分空ければ良いということになりそうである。

時間がかかっても良いのなら、概ね25Mbps以下の継続負荷ならば、OKのはずだから、安全にして最大の速度は、25Mbpsで30GBのファイル転送を行いたければ、163分かかるという理解で良いだろう。
もちろん、60分未満の転送ならば、直前の60分以内に負荷の大きな通信がない限り、100Mbpsで 30GBのファイルを転送する場合の時間が、40.96分なので、制限はかからないハズなのだが。。

現在、確認が取れているのは、24Mbps付近なので、安全をみるのであれば、ここらへんを選んで帯域制御をしておいたほうが良いとも言える。

折角の光回線も、このような見方をすれば、決して万能なわけではないのである。

帯域制限をしないかぎり、8Gbpsすら怪しくなるので、帯域制限の有り無しで良いプロバイダーを選ぶ場合には、しっかりとした帯域制御をしているところを選ぶ必要があり、制限が掛からないようなところはむしろ、良くないプロバイダーということになる。